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2026/7/6 公開

この記事は、Quoraで公開した回答を再編集したものです(元の回答)。

翻訳された文章はなぜ読みにくいのか

Q. なぜ翻訳された文書は読みづらいのですか?母国語ではないからですか?

翻訳された文章を読んでいて、どこか不自然でスラスラ頭に入ってこない、と感じた経験は誰にでもあると思います。それは母国語で書かれた文章ではないから、というのが直感的な答えかもしれません。ですが、実際にはもっと構造的な理由があります。ここでは英語から日本語への翻訳を前提に、私なりの考えをまとめてみます。

正確さを重視するほど、翻訳文は読みにくくなる

まず押さえておきたいのは、正確性を追求すればするほど、翻訳文は読みにくくなるという構造です。言語ごとに「何を省略し、何を強調するか」という表現上の慣習は微妙に異なります。原文に含まれる要素を漏らさず盛り込もうとすると、日本語なら普通は省くような部分や、強調しないはずの部分まで全部残すことになり、結果として直訳に近い、日本語として不自然な文章になってしまいます。もっとも、それを本当に「正確」と呼べるのかという議論は残ります。

意訳すれば読みやすくなるが、正確さは犠牲になる

逆に意訳を許せば、翻訳文はいくらでも読みやすくできます。ただしその分、正確性はある程度失われます。意訳には翻訳者自身の「解釈」が入り込むため、10人の翻訳者がいれば10通りの訳文ができるでしょう。仕事の性質によっては、意訳が禁じられているケースもあります。

そもそも「正確な翻訳」か「意訳」かは、二者択一で決まるものではなく、程度の問題です。正確度2:意訳度8の翻訳もあれば、6:4、8:2という配分もありえます。優れた翻訳者であれば、正確さをさほど損なわずに分かりやすさを両立させることもできますが、両方が完璧になることはありません。どんなに腕のある翻訳者でも、どこかで正確さと分かりやすさのトレードオフを判断する瞬間が必ず訪れます。

良心的な翻訳者ほど「意訳」を難しいと感じる

良心的な翻訳者ほど、基本的には意訳の方が難易度が高いと考えるはずです。原文とは異なる言葉を使いながら、原文の意味を完璧に再現しなければならないからです。そのためには英語の細かいニュアンスを読み取る力に加え、その分野への精通、そして高い日本語力までもが求められます。

さらに言えば、元になる英文の質そのものも大きく影響します。分かりやすく、誰が読んでも誤解の余地がなく、余計な修飾がないソリッドな英文であれば、比較的どの翻訳者が訳しても分かりやすい訳文になりやすいものです。

まとめ ― 翻訳が読みにくくなる4つの理由

理由内容
正確さ優先分かりやすさより正確さを重視している
英語力不足翻訳者の英語力が足りず、ニュアンスを読み取れないため意訳できず、忠実な直訳になってしまう
日本語力不足翻訳者の日本語力が足りず、不自然な日本語になってしまう
原文の質元々の英文自体が悪文である

「母国語ではないから読みにくい」というのは半分正解ですが、その裏にはこうした正確さと分かりやすさのせめぎ合いがあるのです。

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