2026/7/6 公開
この記事は「本当の実力が付く、大人の英語勉強法6つの原則」(2016年公開)の一部を独立させ、再編集したものです。
英文法の勉強のしかたとおすすめの本 ― Grammar in Use の使い方
「Grammar in Use はどう使えばいいですか」「文法書は結局どれを選べばいいですか」という質問をよく受けます。文法書には実はリファレンス・基礎事項網羅用・副読本という3つの役割があり、それを混同すると遠回りをしてしまいます。この記事では、大人の自習になぜ文法が必要なのかという理由から、文法書の分類、そして基礎を一冊で網羅できるおすすめ文法書 Grammar in Use の具体的な使い方までを解説します。
なぜ英文法が必要なのか
文法の大切さはいまさら強調するほどのことではないでしょう。しかし意外と誤解されているところもあります。
英文法は、自習で英語を覚えなければならない大人にはとても便利なショートカットツールです。理由を簡単に説明します。
言語のルールを覚える方法は以下の3つに分類できます。
- 正しいものを大量にインプットして、帰納的にルールを導き出す
- アウトプットしてみて、誰かに訂正してもらうことでルールを覚える
- ルールを明示的に覚え、実践で確認していく
このうち、1,2番目は実践が困難です。なぜなら、赤ん坊が言葉を覚えるまでに本来要する「大量の」インプットをするだけの時間は大人にはないからです。また、親のように辛抱強く言葉を訂正してくれる先生もいません。ですから普通の人には3.しかありません。自習期間中には文法を活用することで学習効率を上げることができます。
「ばー、ばぶばぶ? ばぶばぶ?」
「え、そこから……?」
どのように英文法を勉強するか
文法は「基礎の網羅」と「深掘り」の2つの段階に分かれると意識するのがおすすめです。
基礎文法には何一つとしておろそかにして良い部分はありません。もちろん必要性の濃淡はありますよ。しかし、たとえば冠詞は高度だからいいや、とか思わないでください。冠詞とそれをとりまく概念が理解できていないと英語を発信するときにとても迷うものですし、ごく簡単に表現できることをわざわざ難しくしてしまう原因にもなります。
一方で、重箱の隅をつつくような本当に細かい文法事項というのはあります。文法書を勉強するとき、この2つを混同しないことです。
と言われてもどう区別するんだ、って感じですよね。もちろん初学者のうちはこれを区別できません。そこで、基礎のみをきちんと網羅した文法書が必要になります。
文法について書かれた書籍はおおまかに3つに分類できると思います。
- リファレンス
- 基礎事項網羅用
- 知識を深める副読本
1.リファレンスの本は、学術書といった趣の分厚い本です。数千円からします。「名著」みたいに権威付けがされるのもここですね。「~総覧」とか「~講義」とか固い名前が付いているのがこれです。こういう本を通読しようとしてはいけません。どうしても分からないことがあったときに参照する用です。個人的には今の時代にあまり必要とは思いません。なぜなら、ネットでほとんど解決してしまうからです。日本語だけでなく英語でも検索するようにすれば大抵の疑問は解決します。基礎が身に付いた後深掘りしたい人は買ってもいいでしょう。私は買いましたが、数えるほどしか使いませんでした。
英文法の学習で一番重要なのが2.基礎事項網羅用の本です。「~式」とか「~英文法」とかシンプルなタイトルが付いている2,000円くらいまでの本です。これを一冊やりきってください。そして、2~3周するのをおすすめします。なぜなら一度では絶対に抜けがあるからです。繰り返しますが、基礎文法におろそかにして良い部分は何一つとしてありません。全部きちんと理解する、そして「わかる」だけでなく「できる」ようになるには、何度も何度もやる必要があります。1周目は全体感を掴むためにざっと流す、2周目で一通りやる、3周目で漏れをなくす、みたいな感じが理想的なのではないかと思います。
そして3.の副読本は、特定ジャンルに特化した英文法や、どうしても分かりにくいところを補助する目的で使います。2.をずっとやるのは疲れてしまうので、たまに3.に浮気することも良いと思います。「ネイティブ感覚の~」とか「冠詞をモノにする」とかそういう感じの本がこれにあたります。
基礎事項網羅用のお勧め文法書
※この表紙がアメリカ英語版です。
一冊だけ挙げろと言われたらこれです。鉄板です。英語の先生にお勧めされて買って大正解でした。
この文法書の良いところは、(1)きちんと違いや使い分けについて教えているところ (2) 基礎事項が過不足なくまとまっており、余計な細かい情報がないところ (3) 練習問題が豊富なところです。従って基礎事項の理解を深めるドリル型学習にぴったりです。よくある文法書は「詳しい」ことを売りにしたものが少なくなく、細かいことも網羅してしまった結果、基礎事項の学習書としては適していない場合が多いようです(リファレンス本との境目が曖昧になっている)。
一方であらゆる疑問に答えてくれるかというと、そういう本ではありません。しかし、基礎も分かっていないのに細かいところを聞いてどうするのでしょう、という気がします。もう一度言いますが、「基礎の網羅」と「深掘り」は分けましょう。文法は道具であって知識ではありません。どうしても気になるところがあれば検索すれば事足ります。
洋書ですが、難しくありません。上に挙げた発音の本よりさらに簡単に書かれています。不安な方は、同じくAmazonでちょっとだけ中身が見られるので確認してみてください。しかし、英語で書かれているからこそやる価値があるのです。日本語で説明されるよりもこの本を読んだほうが私は遙かに素直に理解できました。また、この本で勉強すると必然的に簡単な英文をたくさん読むことになりますので「文法を学びながら英語に少しづつ慣れる」ということが可能です。
このシリーズはアメリカ英語版とイギリス英語版があり、この本はアメリカ英語の中級版です。初級版もありますが、ざっと読んだ感じでは、まがりなりにも学校教育を受けた日本人がやるには簡単すぎるな、と思いました。I am / You are / She is あたりからやり直したい方は初級版でもいいかもしれませんが、そういう人はそもそも日本語の書籍の方が良い気がします。
リファレンス用の本、副読本は、必要性に応じて好きなものを読まれると良いかと思います。
基礎事項網羅用の文法書を2~3周すれば、文法の土台はできあがります。文法学習の考え方全体、そして単語・発音とのバランスの取り方については、まとめ記事もあわせてご覧ください。