2016/5/30 公開(2026/7/6 更新)
日本人のための英語発音の練習方法
【 このページに書いてあること】
- 特に日本人が苦手とする発音のコツ
- 効果的な英語発音の練習法
- 英語話者らしい英語を発声するコツ

この記事では、英語の発音を身に付けるにあたり足踏みしがちな部分をどのように克服していくかについて書いています。
このページは、私の英語発音に関する研究、アメリカ在住時の知見、そして声楽の知識などから構成されています。私は20年以上にわたり声楽を勉強してきましたので、発声・発音のメカニズムをそれなりのレベルで理解しています。英語はもちろん、ラテン語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、フィンランド語、スワヒリ語、マジャール語、果ては日本語の正しい発音の仕方まで勉強してきました。他言語がうまく発音できないときの原因と対処法は、歌の指導とかなり通じるところがあります。難しい音声学用語はできるだけ使わないように心がけました。このページの内容が少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。
このページで解説している発音の話はすべてアメリカ標準英語(Broadcaster English)を対象にしています。別の英語では異なる話かもしれませんので、ご注意ください。
このページの内容はかなり長いです。お時間のあるときにお読みください。
このページは発音学習全体のまとめ(ハブ)です。各テーマの詳細は以下の個別記事で解説しています。
この記事の対象となる読者について
この記事は英語発音中級者以上を目指す人のために書かれています。この記事における中級者の基準は以下の表を参照してください。「海外旅行などでちょっとした意思疎通ができれば良い」というレベルではなく、本格的に英語を使いこなしたい人向けの記事です。
とはいえ、ちょっと読んだだけで改善する即効性のあることも書いていますので、長い記事ですが、ご興味がある方はぜひどうぞ。
英語の発音レベル発展段階
理想的な「通じる」英語発音の実力向上は以下のような発展を辿るべきだ、と私は思います。
| 段階 | 説明 | このレベルの人の特徴 |
|---|---|---|
| レベル1 | 日本語訛りだしリズムも怪しいが大きな声でゆっくりはっきり話すので問題なく通じる | シラブルと単語アクセント(※)がほとんどの単語において正しく、かつ母音子音の最低限のコンセプトは理解している。旅行程度の英語であればなんとかなる。 |
| レベル2 | 日本語訛りだが、英語のリズムが身についてきているので、それなりのスピードで問題なく通じる | 上記に加え、ストレスとイントネーションが身についている。母音と子音についても、理解が深まっている。たまに不自然な発音はあるが、相手は文脈から意味を想像できる。仕事に必要なレベルのコミュニケーションができる。 |
| レベル3 | 相当な早口でも問題なく意思疎通ができる。相手は全く苦労せずに意味を理解できる | 母音と子音に母国語のクセはほとんど見られず、かつリンキングやリダクションなど高度なルールが身についている。 |
この記事で想定しているのは、上記の表レベル1と2の中間の人です。英語の学習をはじめて、足踏みしがちな箇所とも言えます。この記事では、このレベルの人に必要と思われる以下の3点のアドバイスをします。
- 難しい英語の母音と子音のコツ
- 文章を読んだ時に正しく通じる発音を身につけるための練習方法
- 英語の発音が楽になる発声方法
→ 心が楽になる英単語の覚え方
英語母音の発音のコツ
母音とは、声帯で作られた音源(ブザーのような音)が、口内で複雑に共鳴して生じる共鳴(倍音)パターンのことです。口内空間の形が変わることにより共鳴のしかたが異なり、結果としてその音色の特徴の違いが母音として知覚されます。そして共鳴空間に一番影響を与えるのが、舌の位置とアゴの開き方です。口の開け方ではありません。このことを理解せずに、英語の母音を正しく練習することは難しいと思います。
母音の詳細は、以下の3本の記事に分けて解説しています。上から順に読むのがおすすめです。
英語の発音は口ではなくアゴ ― アゴをゆるめる練習方法
英語には日本語よりも多彩な母音があり、その多彩さに対応するためにはアゴを柔軟に使う必要があります。基本ポジションとなる「アゴをゆるめた状態」の作り方から解説します。
英語の発音と舌の位置 ― MRI動画で見る母音の作られ方
母音によって舌の形は大きく変わります。歌っている人をリアルタイム撮影したMRI動画を見ながら、耳だけに頼らず「体のフォーム」で母音を覚える方法を解説します。
英語の母音の発音のコツ ― æ・ɑ・ə など日本人の難関母音の出し方
特に日本人が苦労する ӕ・ɑ・ə・ɪ・ʊ・ər などについて、舌の位置とアゴの開きから1つずつ解説し、母音を身に付けるエクササイズを紹介します。
英語子音の発音のコツ
英語における子音のポイントは、「安定した息の流れ」です。声楽の世界で「支え」と呼ばれるものです。日本語の発音は、息の流れが途切れていても問題なく発声できることが多いため、この支えが不十分なまま英語の子音に苦労する人が多いようです。
英語の子音の発音のコツ ― V・TH・L・R・S など難関子音の出し方
息の「支え」のチェック方法と練習から、v・θ・l・r・w・s・ʃ・t といった難関子音のコツ、語頭・語尾など位置による子音の変化までを詳しく解説します。
母音・子音のコツまとめ
重要なポイントをまとめます。
- 母音に強く影響するのは舌の位置とアゴの開閉度。
- 英語の発音時アゴはゆるむのが基本ポジション。そうしないと母音の区別が困難になる。
- 母音は(特に大人は)、耳だけで覚えるのではなく体のフォームで区別できるようにする。
- 子音の発音には安定した息の流れが大事。
- 語頭・アクセントの子音は強調され、それ以外の子音は弱くなる。
さて、ここまで母音と子音におけるポイントを解説してきました。今まで誤解していた点がクリアになり、英語らしく聞こえる音が楽に出せるようになっていれば幸いです。
次は、実際の文章を読む中で、身に付けた発音を正しく使えるかどうか慣らしていくプロセスになります。
通じる話し方を身に付ける
「単語単位では正しく発音できるのに、文章になるとどうしても日本人っぽい発音に戻ってしまう」「文章で喋ると頭でイメージしている音にならない」というのが、発音記号の次に直面するステップです。文章の中で話される英語は、発音記号通りとは限りません。ですから、発音記号だけをずっと練習してもあまり意味がありません。基礎(発音記号)を学んだら、文章を読む練習をする必要があります。
英語を通じやすくするためには、以下のことが重要です。
- ゆっくりはっきり話す
- 英語のリズム(ストレスとイントネーション)を身につける
通じる英語の話し方 ― まずは大きな声でゆっくりはっきり
発音がいまひとつでも、ゆっくり大きな声で話せばきちんと通じます。どこまで発音を練習するべきかという話や、英語漫才の体験談と併せて解説します。
英語のストレスとイントネーションの練習方法 ― 英語のリズムで話す
「英語のリズム」の正体はストレスとイントネーションです。I can / I can't の聞き分けの例から、リズムを身に付ける練習方法までを解説します。
英語らしく聞こえる発声について
英語らしい発声とは、どのようなものでしょうか。みなさんはそれぞれ「低い声に聞こえる」「流れるように発声している」「声が大きい」というような印象をお持ちかもしれません。これらの声質の違いは、ここまで述べてきた発音のコツと深い関係があります。正しい方法で母音と子音を発声していると、自然と英語らしい声になってくるのです。
英語らしい声の出し方 ― アゴ・呼気・リンキングで声は変わる
声の大きなアメリカ人はどうやって声を出しているのか。アゴをゆるめた深く豊かな声、安定した呼気、リンキング(リエゾン)と息の流れについて、声楽の知見から詳しく解説します。
おわりに
発音とは相手への思いやりです。可能なかぎり、理解されやすい言葉で話したいものです。
そのための処方箋はすでに述べました。
- 初心者:ゆっくり、はっきり、大きな声で話す
- 中級者以降:アゴの開け方、舌の位置に注意してメリハリのある母音を身につける。安定した呼気によりクリアな子音を身につける。たくさん聞き、文章を話すことで英語のリズムを身につける。
- 上級者:声帯の緊張を解き、呼気が勝手に声を鳴らす感覚を身につける。
正しいノウハウが広がり「日本人の話す英語は分かりやすい」という世の中になることを心から願っています。
この記事に頂いた質問(2)
顎を下げるというのをやってみたのですが、なんというかちょっとアントニオ猪木? のようになってしまいます。これで良いのか、それとも間違った下げ方なのでしょうか?(タカシさん)
A. ご質問ありがとうございます。実際に試して頂いて、かつ質問までして頂くというのは非常に素晴らしい行動力です。行動している時点ですでに勝っているようなものです。きっとすぐに上達されることと思います。
この回答の全文は、アゴをゆるめる練習方法の記事に掲載しています。
顎を下げるというのは、解剖学的に存在する事実ですか、それとも主観的な感覚でしょうか。(スカイさん)
A. これまた、最高の質問をどうもありがとうございます。最高というのは、その点について書く機会をいただけたという意味です。
ご質問の内容を言い換えると「英語の発音はアゴを下げると良いというのは、学術的に何か裏付けがあるのでしょうか」ということですね。もちろん、あります。
この回答の全文は、独立記事「英語の母音とフォルマント」として公開しています。